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近藤邦夫会長の挨拶

更新日時:2021年9月8日

近藤邦夫会長 一般社団法人 全国医師国民健康保険組合連合会(全医連)では、令和3年8月8日に第12回代表者会を書面開催、令和3・4年度の理事を選任しました。そこで選任された理事による令和3年度第1回理事会を8月11日に開催、新たな執行部が誕生しております。
 私、近藤邦夫・石川県医師国民健康保険組合理事長を、会長(代表理事)に推挙して戴きました。
 今回の役員改選は任期満了に伴うものでしたが、この改選時期に、宮城信雄先生が7月12日に急逝されてしまいました。前日まで電話でお話ししていたので、突然の訃報に驚くとともに悲しみの底に突き落とされた思いです。
 私たち誰もが、次期も宮城先生が会長職に就かれるものと思っていましたので、残念至極であり、全医連にとっては大きな損失です。しかしこの困難を乗り越えていくことが、残された私たちの使命であると考えております。
 私は、宮城先生がいつも言われていた「一つの組合も解散することのないように」というご遺志を引き継ぎ、強固で安定した医師国保組合をつくるために全力を尽くす覚悟です。
 今日、医師国保組合が抱えている問題は数多ありますが、なかでも以下の4点が主要な課題になると考えています。
 1つ目は、定率国庫補助率の削減で、平成28年から令和2年にかけて32%から13%に引き下げられました。これだけでも相当な痛手を被っているのですが、現在、財務省では「所得水準の高い国保組合への定率補助廃止」を構想しています。こうした策動は絶対に阻止しなければなりません。
 2つ目は、高齢者医療制度への納付金等が年々増加している問題ですが、これは安易に他の医療制度に頼るのではなく、国全体の医療保険制度の見直しのなかで考えていくべきだと思います。
 3つ目は、被保険者の減少問題です。後期高齢者制度への移行や家族の独立と言った「自然減」はともかく、医師国保組合の魅力を積極的にアピールして、組合員の勧誘策を打ち出す必要があります。
 4つ目は、最大の、そして難題である高額医療費問題です。医学・医療の進歩により難治性疾患にも医療の光が当てられることは、私たち医療従事者にとっても大いに歓迎すべきことですが、他方、保険者の立場で考えると複雑です。数千万円もする新薬が保険収載され、実際の治療に使われると、たとえ一人の患者さんだけでも、規模の大きくない組合は、存亡の危機に立たされてしまいます。
 この点は、医師国保組合だけの問題ではなく、他の多くの保険者にとっても喫緊の課題です。さらに言えば日本が世界に誇る国民皆保険制度の将来に関わる重要な問題です。
 以上の4点の他にも様々な問題を抱えてはおりますが、当面、これらの重要課題への取り組みを強めていきたいと考えています。
 全医連は、47組合、30万人弱の被保険者数を誇る全国組織です。この力を結集して、難局に立ち向かい、一つの組合も解散に追い込まれることのないように、延いては世界に冠たる国民皆保険制度を支え、守っていきたいと考えております。
 皆様方の一層のご支援・ご協力の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

一般社団法人 全国医師国民健康保険組合連合会
会長 近藤 邦夫

全医連の沿革と今

 全国医師国民健康保険組合連合会(全医連)は、平成27年8月3日、法人格を持たない団体から、一般社団法人として認可されました。
 全医連の歴史を語る前に、まずは医師国民健康保険組合(医師国保組合)の設立経緯について述べることにします。
 医師国保組合は、「一般の市町村民とは全く異なった就業条件と生活条件の下におかれている医師と、その世帯員の福祉と健康を守るために医療保険組合が必要」との認識により、戦後まもなく企図されました。そして、昭和32年~34年、日本医師会のバックアップの下、各都道府県医師会が母体となり、「医師特別国民健康保険組合」の設立が推進され、都道府県の認可を受けています。
 昭和33年の新国民健康保険法の公布により、「特別」の文字がはずれ「医師国民健康保険組合」となりました。当時、米国の統治下にあった沖縄県を除き(沖縄県医師国保組合は、沖縄県の施政権が返還された昭和49年に設立)、各都道府県に医師国保組合が設立され、同時に横の交流も始まることになります。
 昭和38年10月、滋賀県で開催されました全国医師国民健康保険組合打合会におきまして、全国医師国民健康保険組合連絡協議会(略称「全医協」)が発足し、第1回の協議会を開いております。
 昭和62年には、群馬県の家崎智氏や東京都の福井光壽氏らの手により、全医協の規約が作成されました。
 平成9年、愛媛県で開催しました全医協の会議で、規約の改正が行われ、会の名称を全国医師国民健康保険組合連合会(略称「全医連」)に改め、執行機関として理事会を設置することなどが決まります。連合会の初代会長には家崎智氏、副会長には石川県の兼松謙三氏が就任しました。
 その後、長い年月、全医連の事務局機能は東京都医師国保組合に受け持っていただいておりましたが、平成25年、ようやく独自に事務所を開設し、正式に一般社団法人化の検討が始まったのです。
 現在、全医連が抱える問題と今後の進むべき方向性ですが、最大の懸念は、平成27年5月に成立した「医療保険制度改革法案」における国保法改正により、医師国保組合に対する国庫補助率が、平成28年度から5年間に亘り逓減されていくことから生じる諸問題です。現在でも赤字を抱える組合が存在することから、組合の経営基盤をいかに強化するかなど、長期的視点に立った解決策を考えていかなければなりません。
 もう一つは、組織強化をどう進めていくかです。組合員の高齢化に伴い先細りが心配されています。新たに組合員を迎え入れる課題は、医師国保組合だけではなく国保組合全体の抱える共通事項でもありますが、大いに知恵を出し合うことが必要だと考えています。
 少子高齢社会のなか、経済成長を期待することが難しい今日、社会保障とりわけ医療を取り巻く状況は今後益々厳しくなると思われます。全医連も三十数万組合員の総力を挙げて、この難局に立ち向かっていきますので、皆様のご支援・ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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